学資保険の「元本割れ」ってナニ?危険な学資保険の真相

先日、学資保険が元本割れした分を返還するよう求めた訴訟で、保険会社がそれに応じる、ということがありました。

つまりこういうことです。

総支払額が約273万円の学資保険で、契約時には「満期になれば、約430万円になりますよ」と言われたので加入した。
ところが2010年に満期を迎えた時に支払われたのは、たったの259万円だった。
273万円支払って259万円しか払わないのにおかしい。

支払い額よりも受取額が少なくなってしまうことを、「元本割れ」と言います。

たとえば投資信託は、元本割れのリスクがある金融商品です。

100万円を投資したのに、80万円に目減りしてしまった、というようなことはありますよね。

資産運用の場合は、元本割れのリスクはつきものです。
資産運用をする人は、そのリスクは承知しています。「元本割れするかもしれないけど、大きく儲かる可能性もある」。だから、投資するわけですね。

一方元本割れしない金融商品というのは、たとえば「銀行預金」です。
通帳の残高が勝手に減ることはありませんよね。

同じように、学資保険に関しても、元本割れするものではありません。
元本割れしないハズの学資保険が元本割れになった、というのは、銀行の通帳残高が勝手に減らされていたのと同じぐらいの衝撃だと思います。

でも、実は元本割れする学資保険なんていくらでもあります。今回は、学資保険の元本割れの真相についてお話ししたいと思います。

学資保険は元本割れする

学資保険というのはそもそも、子どもの教育費を貯めておくための保険です。

ただお金を貯めるだけなら普通に銀行で積み立てても良いのですが、学資保険には他の積立には無い魅力があるんです。

一つは、親の死亡保障付きということです。
学資保険加入中に、万が一親が死んでしまったらどうなるかご存じですか?

300万円受け取れる学資保険に加入していたとして、まだ保険料を合計10万円ぐらいしか支払っていないときに契約者が亡くなってしまったら……?

もし契約者が亡くなってしまっても、はじめに約束した300万円は、必ず受け取れるようになっているんです。
もちろん、契約者が亡くなってしまった以上、その後の保険料の支払いは不要です。

普通の積立なら、10万円しか貯まっていないときに親が亡くなってしまっても、銀行の残高は10万円のままです。いくら銀行に「300万円貯めるつもりだったんです!!」と言ってもどうにもなりませんよね。
これが、貯金と保険の大きな違いです。

さらに、学資保険の場合は、他にも保険としての機能を充実させることができます。
子どもの医療保障や親の死亡保障を上乗せできるという機能です。

子どもが入院したり手術を受ける、というようなことがあった際に、給付金が支払われる。
親に万が一のことがあった場合に「育英年金」として保険金が受け取れる。
そういった機能がついているわけですね。

子どもの医療保障や育英年金に関しては、商品によってついていたりついていなかったりします。

そして、こういった保険としての機能が充実している学資保険は、

漏れなく元本割れします

学資保険は元本割れしない、というのは間違いです。
商品によっては元本割れするので、十分に気を付けなくてはなりません。

元本割れは悪いことではない

わたしたちは「元本割れ」という言葉を毛嫌いしていますが、別に元本割れは悪いことではありません。

たとえば親の死亡保障が充実している学資保険の場合。
子どもの教育費として毎月2万円ずつ積み立てて、親自身の生命保険の保険料で1万円払っているとします。合計3万円です。

でも、学資保険なら同じだけの親の死亡保障がついて、さらに子どもの教育費も確実に準備できて、保険料は2万8千円で済むかもしれません。

「貯蓄」と「保険」を別々に準備するよりも、学資保険でまとめて準備した方が出費を減らせる可能性が高いのです。

学資保険の場合は、元本割れと言っても実際にはお金が減ってしまっているわけではありません。
生命保険の役割をする部分には当然保険料がかかりますし、保険料の分だけ支払額が多くなるのは当然のことなんです。

最近のはやりの学資保険と言うのは元本割れしません。
それは、保険としての機能を極限までそぎ落としているからです。つまり保障が少ないのでその分保険料が安くなるということですね。

たとえば日本生命が今年発売した学資保険。
これは返戻率が120%程度にもなる商品です。
返戻率というのは、支払った額に対していくら返ってくるのか、ということの割合です。

90万円支払って100万円返ってくる学資保険なら、返戻率は111%になります。

元本割れしている学資保険というのは返戻率が100%未満になるわけですね。

日本生命の学資保険は素晴らしい返戻率を誇りますが、今まで日本生命が売ってきた学資保険というのは元本割れする商品でした。
育英年金がついていて、子どもの医療保障を付けることもできるものだったんですね。

新しい方の学資保険では、育英年金などの機能が無い代わりに高い返戻率を実現した商品だと言えるでしょう。

他にもソニー生命やアフラックなどの人気がある学資保険というのはいずれも保険としての機能がほとんどなく、返戻率を高くすることを重視した保険になっています。

でも、実は学資保険というのは従来は元本割れするもの、つまり保険としての機能が充実したものばかりだったんです。
今回訴訟になった学資保険も1992年に契約したものです。だから、この頃に学資保険に加入した人は他にも元本割れした人はいくらでもいるはずです。

よく考えてみれば、学資保険でも保険としての機能が充実しているものは元本割れして当然だと言えるんですよ。

なぜ、元本割れの分が返還されることになったのか?

今回の訴訟の内容をもう一度考えましょう。

この契約者は、契約時に「満期になったら約430万円受け取れる」と聞いていたそうです。
「どうして273万円しか支払っていないのに430万円も受け取れるの?」って疑問が出てきますよね。

これを返戻率にすると、157%になります。
こんな学資保険ありません。
どう考えてもおかしいですよね。

でも、この契約は1992年のものです。
つまりバブルが終わるころですね。

この当時は、今みたいに景気は悪くありませんでした。
銀行にお金を預けてもどんどん利息がついた時代。

生命保険も、銀行預金と同じように利息が付くんです。
「利息なんてもらったことが無い!」という人も多いと思いますが、それは当然です。
銀行預金の利息も数円とか数十円程度。

生命保険の利息も、これだけ不景気が続けばつきません。
生命保険につく利息を「配当金」と言います。
これは、保険会社が運用によって得た利益が多ければ、その一部を契約者に還元する、という性格のものです。

若い世代の人は配当金がついたことなんて一切ないと思いますが、昔は生命保険の配当金というのも立派な財産になるほど多かったのです。

今回問題になった学資保険でも、「約430万円受け取れる」というのは配当金を含めた金額でしょう。
当時の情勢から言えば、まさかバブルがいきなり終わって超不景気に突入するなんてことも思わず、当然配当金も増えるもの、という認識があったと言えます。

わたしも保険会社で働いていたことがあるのですが、そういう契約はたくさん見ました。
年配のお客様を担当することが多かったので、何十年も前の契約もたくさんあります。
満期が来てお受け取りの手続きをすると、よくお客様は「契約したときは、200万払って400万受け取れるとか言ってたけどね~いまどき配当金なんてほとんどつかないわね」と言われたものです。

中には契約当時の提案書をまだ持っておられる方もいて、それを見せられることもありました。
すると、本当に書いてあるんですよ。でかでかと。
「お受取額:約430万円」みたいに。
最近の契約書や提案書にはそんなことは書きません。だって、配当金なんてつくかつかないか分からない不確定なものですからね。

それをあたかも「確実に受け取れる」と誤解させるように書くのは良くないと思います。

また、最近は、契約時のリスクについて説明するのは必須です。
もし元本割れするならその旨を伝えなくてはなりませんし、他にもお客様にとって不利益になることについては重要事項説明書という書面を交付し、さらに口頭での説明もしなければなりません。

でも、昔はそのような法律もなく、お客様に不利益になることを説明しない担当者もいたのでしょう。
そして、今回の訴訟の場合もそうなんだろうなと思われますが、お客様にウソの説明をしていることもあったのだと思います。
配当金が付くかどうかは分からないのに、「確実に430万円受け取れます!!」みたいに説明されたのであれば、完全に保険会社に非がありますよね。

このように、学資保険のように貯蓄性の高い保険の場合は、大げさな説明によってお客様が誤解して、満期になってからトラブルになることもあります。
もちろんこのようなことはあってはならないことですし、契約者としても、自分にとって不利益なことは無いかということは自分から聞いて自衛することも大切なのかな、と思います。

学資保険はどのように選べば良いのか?

では、これから学資保険に加入しようと思っている人は、どのような商品を選ぶと良いのでしょうか?

まず、学資保険というのは必ずしも入らなくてはならないものではありません。
昔のように配当金がバンバンつくわけでもないので、むしろ銀行に積み立てた方が利息がつきやすくなる可能性が高いです。

ただし、学資保険には「契約者が死亡しても確実に学資金が受け取れる」という利点もありますから、排除する必要もないと思います。

筆者としては、準備したい教育費の半分は学資保険で、もう半分は積立で用意するのが良いと思っています。

全額学資保険で準備すると、親に万が一のことがあった場合には安心ですが、たいていの親は普通に生き延びるわけですから、それよりも収益性を重視した方が良いでしょう。
かと言って全額積立にしてしまうと、本当に万が一のことがあったときには困りますものね。

だから半分ずつです。

そして、学資保険に加入するなら、おすすめはやはり元本割れしないものです。
子どもの医療保障や親が死亡した際の育英年金については、別途生命保険で準備した方がよく、また、子どもの医療保障に関しては、多少の蓄えのある家庭なら必要ありません。子どもの医療費ってそもそも安いですしね。

学資保険に加入する際に大切なのは、何より自分にとって不利益なことを聞いておくことと、それから、確実に受け取れる金額はいくらなのか、ということを確認することです。
今でもたまにいい加減で大げさに説明する担当者もいますし、つきもしない配当金があたかもつくように言って、「この学資保険なら満期で300万円と、さらに配当金がつきますよ」と言ってくるかもしれません。配当金がつくかどうかわからないのですから、確実に受け取れる金額だけを見て、判断するようにしてくださいね。

学資保険というのは、子どもの教育費というとても大切なお金を準備するためのものです。ですから契約する際にはよ~く話を聞いて、誤解のないように自分で納得してから加入するようにしてくださいね!

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