保険の「切り替え」には要注意!

生命保険というのは、長年にわたって継続するものです。

大学を卒業して、就職してすぐに生命保険に加入したとして、80歳で死亡するとしたら、58年間も生命保険に加入することになります。

ところで、生命保険というのは、医学との関係が深いものです。たとえば入院や手術に関する保障をする医療保障でも、今と昔では全然保障内容が違います。

昔は入院と言えば長期入院するものでしたから、1入院あたりの限度日数は240日や360日というのも普通でしたし、今のように入院1日目から給付金が支払われるとは限らず、「20日以上の入院」に限って給付金が支払われる、というものでした。

現在では平均入院日数は35.6日で、通院治療も増えてきました。

また手術に関しても、手術の種類がはかなり増えています。給付金の支払い対象となる手術の種類は契約で決まられており、昔の保険では現在の多様な手術には対応できません。

さらに、平均寿命が延びたことにより、老後資金を準備しておかなければならない、という問題もあります。

今から50年前、1963年の平均寿命は、男性67.21歳、女性72.4歳と、今と比べたら全然違いますよね。現在の平均寿命は男性79.59歳、女性86.36歳なので、男性は12年程度、女性は14年程度、老後の年数が延びているということです。

平均寿命が延びたことで、新たな問題もあります。それが介護問題です。介護が必要になった場合は、別途お金が必要になるので要介護状態に備えるための介護保険も誕生しています。

このように、時代とともに、生命保険に求められる保障内容も変わります。一度生命保険に入ったからと言って、安心はできないというわけですね。

そこで、生命保険は定期的な見直しが必要となります。

ここで本題ですが、生命保険の「切り替え」には注意が必要です。必要な保障は時代とともに変わるので、携帯電話の機種変更並とはいかなくても、数年に一度は見直しをしておきたいものです。

不要な保障があれば解約し、別途必要になった保障があれば追加契約・増額の手続きをしなければなりません。

でも、場合によっては、担当者によって不要で不利な切り替えを勧められることもあるんです。

生命保険というのは「予定利率」によって、あらかじめ保険料が割引されています。ということは、予定利率が高い方が、安い保険料で大きな保障が得られるとうことです。

今から数十年前、予定利率が5%、6%という時代がありました。ちなみに現在は1%です。
銀行の預金の利率が1%と5%では、どちらに預けますか?当然高い方に預けますよね。生命保険も、予定利率が高いほどお得なんです。

ところが、銀行の預金と違って、保険の場合は契約したときの予定利率がずっと続きます。

たとえば1990年に、予定利率5%程度で契約した終身保険があれば、その保険はずっと5%のままです。ここ20年ほどは段階的に予定利率が引き下げられてきましたが、一度契約した保険に関しては、途中で予定利率を変えることはできない、ということです。

でも、それが保険会社を苦しめることになりました。予定利率というのは、契約する時点で「これぐらいの利回りで運用ができて、これぐらい増やせるから、保険料は○○円でいいですよ」と保険料を値引きするものです。ところが景気が悪くなって、運用してもたいしてお金が増えなくなったことは周知のとおりです。

そうなると、保険会社としては5%でも儲かるはずだったのが、かえって赤字になってしまう、という現象が起きてしまいました。これがいわゆる「逆ザヤ」と言われるものです。

逆ザヤの状況は深刻で、中には倒産に追い込まれた保険会社もあったほどです。そこで、保険会社が逆ザヤを解消すべく進めてきたのが「保険の切り替え」です。

はじめにお話しした通り、保険というのは何十年にもわたって契約するものですから、途中で見直しをする必要があります。
古い保険を持っていてもいざというときに役に立たないこともあるので、必要に応じて新しい保険に取り換えるというわけです。

でも、古い保険を新しい保険に取り換えてしまったら、どういうことが起こるでしょうか?高い予定利率の契約がなくなり、低い予定利率での契約に切り替える、ということになるのです。

もし、昔の保険を今切り替えてしまえば、予定利率は5%程度から1%程度にまで下がります。

そのことをよく知らずに、「新しい保険の方が良いだろう」と安易に切り替えてはいけません。

定期預金を利用している人は多いと思います。利率1%で預けていた定期預金を、0.03%の普通預金に預け替えようと思いますか?よほど緊急の事情があって現金が必要でない限り、高金利の定期預金を解約することはありませんよね。

でも、保険の場合は「新しい保障が得られるなら」と、よく考えずに切り替えてしまう人がたくさんいるのです。

悪質な担当者になると、予定利率が大きく下がることを説明せずに、良いところだけを強調して切り替えを勧めてくるケースもあります。

このようにして、「逆ザヤ」の原因になっている保険契約をどんどん切り替えしてきたのが、保険会社の実態です。

いかがでしょうか?善意で切り替えを勧めてくれたと思って切り替えをしたのに、実は損をしていた、という人も多いのではないでしょうか。

ただ、切り替えにもメリットはありますし、予定利率の高い保険を残すこともできますから、どのような場合に切り替えをすべきなのかを紹介しましょう。

まず、古い保険についている「医療特約」については、切り捨ててもかまいません。過剰な保障をなっている定期保険があれば、それも不要です。

医療保障に関しては特約としてつけるのではなく、現在は「医療保険」として独立して契約する方が理にかなっていますから、新たに医療保険に加入するのは良いでしょう。ただし、十分な貯蓄(入院などの場合に使える貯蓄が200万円以上)があれば、医療保険自体が不要な場合もあるのでよく考えてくださいね。

逆に、極力残しておくべき保険は、「終身保険」「養老保険」「年金保険」といった、貯蓄性の高い保険です。

予定利率による恩恵が大きいのが、このような貯蓄性の高い保険なんです。しかも、これらの保険はどれだけ医療が進歩したとしても、ニーズに合わない、ということはありません。

もともとシンプルな内容の保険ですから、何十年もそのままにしておいても良いものなんです。現在の標準利率(予定利率の指標となるもので、金融庁が定めている)は1%です。ほんの10年前の保険でも2%あったのですから、この差は大きいと言えるでしょう。

このような保険は、どれだけ切り替えを迫られたとしても、基本的にはスルーした方が良いですね。

ただ、終身保険や養老保険に付加している特約については不要です。

すでに持病があって新たな保険には入れない、という場合は別ですが、医療保険が必要であれば、古い特約は解約して新しい医療保険に入った方が良いですよ。

予定利率の高い保険を消滅されるために使われる手法が「切り替え」で、保険業界では「転換」「CV(コンバージョン)」と呼ばれているものですが、転換をしなくても保険の見直しはできます。上記のように、不要な特約だけを解約して、必要な保険を新たに契約する、ということもできます。

「解約」や「減額」は保険会社にとっては避けたいものなので敬遠されることもありますが、契約者の当然の権利ですから、不利な転換は避けるようにしましょう。

また、転換でも、部分的に転換するという方法もあります。これは「部分転換」などと呼ばれるもので、今ある保険の特約と終身保険などの一部を減額して、残りを新しい保険にする、という方法です。この場合は終身保険や養老保険の一部を削ることになるのですが、貯蓄部分の保険を削ってでも医療保障を備えておきたい、という人には向いています。

ただ、基本的には、貯蓄性の高い終身保険や養老保険はそのまま残しておくのがおすすめです。たとえ医療費の支払いに不安があったとしても、医療保険は最低限だけにしておいて、足りなくなればその時に終身保険を減額するなどして資金調達をすれば良いのです。

さらにこうした転換の対象となるのは、古い生命保険を契約している人ですから、必然的に年配の方になります。年配の方の場合はすでに十分な貯蓄があり、医療保険が必要ないという場合も多いので、切り替えの話が出たときには、自分なりに調べたり他の保険代理店などで相談してみて、切り替えることが得なのか損なのか、よく考えるようにしましょう。

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