医療費控除についての最低限の知識

医療費控除という言葉を聞いたことはある、という人は多いと思います。ただ、「高額療養費制度」と混同している人も多いので、一度整理しておきましょう。

医療費控除と言うのは、医療費が安くなる制度ではありません。これは、所得税が安くなるものです。

所得税は、会社勤めの人であれば、毎月給料から天引きされて、12月になると、年末調整をして、天引きされた所得税のうちいくらかが戻ってきたりしますよね。所得税はどのように計算されるのでしょうか?

所得税は、所得に対してかけられる税金ですが、収入にたいしてまるまる税金をかけるというのはひどい話です。ですから、必要な経費に対しては、所得税はかかりません。

たとえば自営業の人であれば、売上が1000万円あったとしても、商品を仕入れたり、人を雇ったり、テナントを借りたり、という経費がかかります。その経費が400万円ぐらいあったとしたら、実際に税金がかかるのは残りの600万円に対して○%というふうに計算されます。

会社勤めの人は、経費は会社が負担しているものですが、「給与所得控除」という名目で、経費と同じように、税金がかからない部分があります。ほかにも、誰でも平等に「基礎控除」というものがあり、38万円が収入から経費として引けることになっています。このような、経費に相当するものを「控除」と呼んでいるのですね。

控除にはいろんな種類があり、配偶者を養っていれば「配偶者控除」、生命保険に入っていれば「生命保険料控除」などと、いろんな名目が収入から引けるようになっています。そして、最終的にのこった収入のことを「課税所得」と言い、課税所得に対して○%という形で所得税が決まるのです。

所得税と言うのは、1月1日から12月31日までの収入で決まるものです。会社勤めの人であれば、毎月「この人の給料ならこれぐらいの所得税かな」という形で引いていきますが、これはあくまでも概算です。年末に、いよいよ1年間の収入が確定した、というときになって、「結局この人の所得税は○万円だから、引きすぎた分は返しておきます」というのは年末調整です。普通、所得税は多めに引かれているので、年末調整で追加で所得税を納めるということは少なく、たいていは払い過ぎた分が返ってきます。

自営業の人や、転職をして会社での年末調整ができない人などは、2月から3月に「確定申告」をおこないます。これも、仕組みは同じで、収入から経費を引いて(控除をして)、所得税を決定し、その所得税を納めたり、支払いすぎている所得税があれば返還してもらったりします。

さて、医療費控除というのは、この控除の一種なんです。「1年間でこれだけ医療費がかかったので、所得税は安くしてください」というものですね。

医療費控除は、会社の年末調整では対応してもらえないものなので、「還付申告」をします。期間はとくに決まっていないので、年が明けてからすぐに税務署に行ってもいいですし、ゆっくり春ごろになってもかまいません。国からすれば、還付申告というのは、はっきり言えばしてもらわない方が助かるものですから、特に期限は決めていないんですね。

さて、では、実際にどれぐらいの所得税が返ってくるのでしょうか?1月1日から12月31日までにかかった医療費が、高額療養費や生命保険の給付金を差し引いても、10万円を超えていた場合、その超えた部分が控除できる金額になります。

高額療養費制度を使っても年間の医療費が100万円になって、医療保険で40万円の給付を受けた、という場合は、60万円の医療費がかかった、ということになりますから、10万円を超えた部分というのは「50万円」ということになります。ということは、課税所得からさらに50万円が引けるので、一般的な所得の人であれば所得税率は10%なので、5万円の所得税が戻ってくる、ということになります。これは大きいですよね。

医療費控除の場合は、自分にかかった医療費だけでなく、家族全体でかかった医療費が合算できます。ですから、自分の入院費用のほかに、奥さんが風邪をひいて病院に行った分、子どもがケガで通院した分など、すべてまとめることができます。
ちなみに、所得税というのは働いている人が支払う税金ですから、共働きの場合は、医療費控除は夫が使っても妻が使っても構いません。所得が多い人の方が所得税率も高いので、一般的には夫が使ったほうが良いでしょう。

さらに、医療費控除の対象となるのは病院の治療費だけではありません。病院に行くまでのタクシー代や、薬局で買った薬代なども対象になるので、すべて領収書をとっておくようにしましょう。バスなどでは領収書はないので、メモ書きでかまいません。

普段常備している頭痛薬でも対象になりますから、きちんと領収書をとっておくと、入院したりしていなくても医療費控除が使えるかもしれませんよ。ただ、医療費控除で税金が安くなると言っても、自己負担ンが10万円を超えた分に対しての税金が安くなるだけなので、とてもお得、というわけではありません。

年間の医療費が15万円なら、超えた分は5万円だけですし、所得税率10%の人で5000円程度戻ってくるだけなので、おこづかい程度のつもりでいた方が良いかもしれませんね。

実際に手続きする時には、病院や薬局の領収書、病院へ行くのにかかった交通費のメモ、そして源泉徴収票などを持って税務署に行くと手続きができます。すぐに還付されるわけではありませんので、お金に困っているから、というときには当てにしないようにしてくださいね。手続き自体は税務署の人がやり方を教えてくれますから、少しの金額でも、きちんと申告して払い過ぎた所得税を取り戻しましょう。

このように、医療費控除と言うのは、所得税が少し戻ってくる制度です。医療費が戻ってくる制度ではないので、注意しましょうね。

>>保険のいろは 保険無料見直しサービス<< 保険一括見積